「家庭の省エネ施策に、世帯年収1000万円以上は反応しない」
先日、株式会社 環境エネルギー総合研究所の大庭さんとランチをした際に聞い
た話。
彼女は長らくコンシューマーのエネルギー消費動向調査をあらゆる角度か
ら仕掛けていて、
この分野で困ったときに、私は真っ先にアドバイスを仰ぐ。
(^_^)
実際のところ、家電ecoポイントなどの制度も年収1000万円以上の家庭には効い
ていないようだという。
恵まれている生活環境ゆえ、もともとの消費エネルギーも大きい上、
ちょっとや
そっとのインセンティブには反応しない層。
よく分かる。周りを見ていても、昨今の不況下「そこそこ恵まれている」家庭の
人たちは、食費や光熱費を切り詰めたりしているそぶりは殆どない。
「それほど恵まれているわけではない普通の生活レベル」の人は、逆に不況下で
なくても常に食費や光熱費を気にしているように見受けられる。
大庭さん曰く、「年収1000万円未満の層は、放っておいてもその時々に節約志向
が働く。だから特に家庭のエネルギー政策では、この年収1000万円以上の世帯層
を動かす有効な策が必要なのに、それが今のところ無い」という。
ことあるごとに政策サイドに向けてこの点を強調するらしいが、
「年収1000万円なんて!」と取り合ってはくれないそうだ。
年収1000万円というと、今の日本では中産階級の上くらいか。共働き世帯の年収
で最も多かったのが1000万円以上、というリサーチ結果もある。
そしてなによりも、エネルギー消費の母数が大きい層なのだから、ここを動かすのが肝要。
日本の環境政策に感じるのは、それが情緒的に進められることが多いこと。
効率的なインパクトよりも、
「みんなで一丸となって取り組もう!」という精神
的視点ばかりが重視されている気がしてならない。
かつて、あるクライアントが
「ラベルを剥がさなくてもそのままリサイクル」
で
きるというインクを使ったPETボトルを採用しようとしていたが、
お役所から速攻でNGのお達しが。
その理由がまぎれも無い
「せっかく国を挙げてPETボトルのラベルとキャップをはずす行為を浸透させ始
めている中、水を差すようなことになる」
からだ。(^_^;)?
これでは「環境と経済の好循環」には程遠いと思った一件だったが、今でもそう
思わされることは少なくない。
国民的ムーブメント作りが成功すればそれが何よりなのだが、
「動かない層」に
は効率的に動く仕組みをドラスティックに組み入れていくのは、
正攻法だと思う
のだが。。。