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●目次● 2011年9月20日号
1.再生可能エネルギーとスマートグリッド vol.3
2.スマートハウスのハイテクとローテク
3.セミナー・イベントご案内
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◆1.再生可能エネルギーとスマートグリッド vol.3◆
「再生可能エネルギーとスマートグリッド」三回目の今回は、前回に引き続
き、国や地域ごとに異なるスマートグリッドの定義とその背景について考え
ていきたいと思います。
前回は様々な地域のスマートグリッドに共通する定義として「供給側と需要
側の双方向性を持つ、電力と情報の新しいインフラ」というものを挙げまし
た。また、アメリカがスマートグリッド導入を目指す背景と、その目標につ
いてもお話ししました。アメリカでは、将来的に予測されている電力需要の
増加をクリーンなエネルギー源で対応しようとしていること、そして現在の
送電設備の絶対的不足と不安定性を解決するための策としてスマートグリッ
ドの導入を目指しています。それでは、欧州や日本ではどのような背景から、
そして、どのような目的のためにスマートグリッドの導入を目指しているの
でしょうか。
まず、欧州でスマートグリッド導入が求められる最大の理由は、これまで欧
州で広く進められてきた風力発電の大量導入によって不安定になってしまっ
た電気の流れを制御する、ということが挙げられます。欧州各国では、年間
を通じて安定的に偏西風が吹くことから風力発電所が多く建設されており、
2020年までにEU全体の電力消費の20%をまかなうという目標も掲げていま
す。しかし、今回の連載を通じてお話ししているように、風力発電や太陽光
発電をはじめとした再生可能エネルギー発電は天候などに左右されるため、
発電される発電量が非常に不安定であり、電気の需要と供給を同時同量に保
つという大原則を守ることが大きな課題になっています。実際に欧州でもア
メリカと同様に過去に大停電事故が起こり、今度も頻繁に停電事故が起こる
のではないかという懸念もあります。停電は震災の祭に経験したように、経
済的損失に直結します。そこで必要となるのが供給および消費電力の把握・
制御を可能にするスマートグリッドです。つまり、欧州では送発電網のIT化
を進め、時々刻々と変化する発電量と消費量を同時同量に保つためのインフ
ラを整備することで、今後も引き続き大規模に導入される風力発電に対応し、
電力を安定的、および経済的に供給することを目標としています。
それでは、日本ではどうなのでしょうか。日本の送電網は欧米と比較して、
通信機能を備えていることや、補修や機能増強も継続的に行われてきたこと
から、元々かなり「スマート」であり、スマートグリッドの導入に対して、
「必要ないのでは?」という不要論も電力業界に存在していました。しかし、
日本も今後、太陽光発電などの再生可能エネルギーや電気自動車などの大量
導入を目指しています。それには現在の火力発電などの集中型発電所から消
費者への「単一方向」の送電システムでは対応できず、電力が需要家からネ
ットワークに流れ込んでしまう「逆潮流」という問題を引き起こす可能性が
あることから、双方向の送電システムが求められます。つまり、日本では欧
米に比べ、スマートグリッド導入の差し迫った必要性には乏しいかもしれま
せんが、震災後の原発事故、それに伴う再生可能エネルギーなどの分散型発
電の増加へ対応するため、送配電ネットワークをコントロールする必要性が
高まっています。
前回と今回のお話をまとめると、欧米そして日本のスマートグリッド導入の
共通テーマとして、「再生可能エネルギーの大量導入を前提として停電を少
なく、安定的、経済的に電力系統を運用する」ということが挙げられます。
では、実際にスマートグリッドによって描き出される未来はどのようなもの
で、具体的にはどのような技術が用いられるのでしょうか。次回からはこの
点についてお話ししていきたいと思います。
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神内 佑大/環境リレーションズ研究所ボランティア
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◆2.スマートハウスのハイテクとローテク◆
スマートグリッドと並んで脚光を浴びている「スマートハウス」。
ITによりエネルギーを効率的に使い、自然エネルギーも生かす快適な次世代の家として、
たくさんの建築関連企業が次々に自社ブランドのスマートハウスを発表しています。
ある企業のスマートハウスの実証モデルを見学してきました。
国産の木材や自然素材の内装材をふんだんに利用した(高かったそうです)、
「すてき!これなら住みたい!」と思わせる、良い家でした。
服は美形のマネキンに着せたほうが「買いたい」と思ってもらいやすいように、
スマートハウスの普及のためには、家を美形に作るのも大事だなあ、と
変なところに感心しました。
そのモデルハウスには、自然エネルギーを利用できる形に変える「創エネ」と
既存のエネルギー源(電気、ガス、灯油など)を効率的に使う「省エネ」の設備が
各種なんでもと言いたくなるくらい、ついていました。
見て回っているうちに、なんとなく設備が過剰についているような気がして
案内の方に聞いてみると、
ある形態のエネルギーが、実は作りすぎで余ってしまうので、捨てています、と
こっそり教えてくれました。
しかも、それは自然エネルギー由来ではなく、化石燃料由来のエネルギーでした。
まだ実証試験中なので、エネルギーをどうしたら余らせないように制御できるかは
これからの課題なのだそうです。
そのモデルで一番すばらしかったのは、大きさや高低差を計算して作った
リビングの両側にある大きな窓でした。
開け放つと、自然に風がリビングを通り抜けていきます。
外は風がほとんど感じられない猛暑だったのに、リビングがサッと涼しくなり、
とても不思議でした。
最新の設備は、制御が未熟だとかえって無駄が出てしまうけれど、
まずはこういう、企業にとってはお金にならないけれど、簡単にできる工夫を
どんどん取り入れていくのも近道なのでは、と思いました。
企業にとっては、華々しい技術のほうが取り組みやすいのですが、
庶民は、こういったお金にならない地味なローテク分野のほうが
確実ですし、手も出しやすいので。
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西形 涼子/環境リレーションズ研究所ボランティア
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◆3.セミナー・イベントご案内◆
◆◇ エコ・エグゼクティブ講座 ◇◆
環境問題を解決するための仕組みを戦略的に発案し、それを実行に移して
結果の出せる「エコ・エグゼクティブ」を育んでいくことを目的とした講座
です。月1回、エコエグの役割とは何か、具体的な事例に則してレクチャー
しつつ、集まったメンバーと知恵を寄せ合ってさらに具体的なプランにまで
落とし込む可能性を模索したいと思います。
*2011年10月12日(火) 19:00–21:00
「若者たちの農業」
*農業を志す若者たちは、なぜ、どのように農業なのか。山梨の農業法人
「サラボウル」をはじめ、事例を使いながら、農業という仕事を考えます。
*申込期限:10月11日(月)
*お申し込み/お問い合わせ
下記のフォームより、
・関連するプロジェクト:「エコエグゼクティブ講座」
・内容:「エコエグゼクティブ講座参加希望」
とご記入の上お申込み下さい。
http://www.env-r.com/contact/er-pm.html
参加費:学生/1000円 社会人/2000円 Er会員/無料
定員:20名
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環境リレーションズ研究所
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